武満徹の「系図」における遠野なぎこさんの起用経緯と初演の舞台鑑賞について

武満徹の作品『系図』における語り手として、女優の遠野なぎこさんが起用された経緯と、同年の日本初演時に武満徹が舞台を鑑賞できたかについて詳しく解説します。

『系図』の概要と武満徹の意図

『系図』は、武満徹が作曲したオーケストラと語り手による作品で、谷川俊太郎の詩集『はだか』から選ばれた詩を基にしています。楽譜には「ナレーターは十代半ばの少女によってなされることが希ましい」との作曲者による指定があり、これまで遠野なぎこさんや上白石萌歌さんなどが語り手を務めてきました。

遠野なぎこさんは、1995年に15歳の若さで『系図』の語り手として起用されました。彼女の初々しい声と表現力が、作品の持つ「はかなさ」や「儚さ」を引き立て、武満徹の意図に合致していたと考えられます。

『系図』の日本初演は、1995年9月7日に長野県松本文化会館で行われ、遠野なぎこさんの語り、小澤征爾の指揮、サイトウ・キネン・オーケストラの演奏によって実現しました。武満徹は1996年2月20日に逝去しており、残念ながらこの舞台を直接鑑賞することはできませんでした。

『系図』の語り手として遠野なぎこさんが起用されたのは、彼女の年齢や表現力が武満徹の作品の意図に合致していたためです。日本初演は武満徹の逝去前に行われましたが、彼が直接舞台を鑑賞することは叶いませんでした。