なぜ昔の芸人は売れると漫才やコントを作らなくなるのか？その理由を探る

日本のお笑い界において、芸人が売れた後に漫才やコントを作らなくなる現象は長年にわたって続いてきました。しかし、近年では売れた後も漫才やコントを作り続ける芸人が増えていることが注目されています。この記事では、昔の芸人がなぜ売れると漫才やコントを作らなくなったのか、その背景を解説します。

90年代以前の芸人たち：売れたら方向転換？

90年代以前に活躍していた芸人、例えばロンブー、ナイナイ、ココリコなどは、売れるとそれまでの漫才やコントのスタイルを放棄し、テレビ番組の司会や俳優業に転身することが多かったです。これにはいくつかの理由が考えられます。

まず第一に、当時のお笑い業界では、漫才やコントを作り続けることよりも、テレビでの露出を増やすことが重要視されていました。そのため、売れた後はテレビでのバラエティ番組の司会や俳優業にシフトし、お笑いの枠を超えた活躍が求められることが多かったのです。

90年代から2000年代初頭のテレビ業界は、視聴率至上主義の傾向が強く、バラエティ番組が盛況でした。この時期、芸人は漫才やコントの枠を超えて、さまざまな番組に出演し、司会やコメンテーターとしての活躍を求められることが一般的でした。

また、テレビ番組の制作サイドも芸人に対して新しい形のエンタメを求め、芸人は漫才やコントの枠にとらわれない仕事をするようになったのです。このような環境では、漫才やコントの制作に時間をかけるよりも、テレビで目立つための活動が優先されることが多かったといえます。

一方、近年の芸人たちは売れた後でも漫才やコントを作り続ける傾向が強くなっています。これは、テレビ番組の形式が多様化し、お笑いライブやネットメディアなど、漫才やコントを披露する場所が増えたためです。

また、YouTubeやSNSの普及により、芸人は自分のペースで作品を作り、発信できる環境が整いました。これにより、売れた芸人も自分のスタイルを守りつつ、漫才やコントを続けることが可能となっています。

売れた芸人が漫才やコントを続ける理由は、単にメディア露出の増加だけでなく、芸人自身の「芸」の追求があるからです。お笑いに対する情熱や愛情が強い芸人は、どんなに売れても本来の芸に立ち返り、自己表現の場として漫才やコントを続けます。

例えば、オードリーやサンドウィッチマンなどは、テレビだけでなくライブや劇場での活動を大切にし、漫才やコントを継続的に行っています。これは、彼らが自己表現の一環として漫才やコントを捉えており、売れてもそのスタイルを貫く意志が強いからと言えるでしょう。

90年代以前は、売れた芸人が漫才やコントをやめることが一般的でしたが、近年ではその傾向が変わり、売れても漫才やコントを作り続ける芸人が増えています。これは、メディア環境の変化と、芸人自身の芸に対する熱意や表現欲求が大きな要因となっています。